西田有志が成長も石川祐希の負担は大。
日本の明確な狙いが見出せない

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 全日本男子代表チームは、6月30日に終了したバレーボールネーションズリーグの予選ラウンドを7勝8敗の10位で終えた。7月10日からの決勝ラウンドには進めなかったが、昨年の同大会は6勝9敗の12位だったため、一定の評価はできるかもしれない。それでも、全日本の戦いからは明確な"狙い"が見出しづらかった。

エースとしてチームをけん引した石川祐希エースとしてチームをけん引した石川祐希 昨年に新設されたネーションズリーグは、参加国の多くが国内リーグを終了して間もない5月下旬に予選ラウンドが始まり、各チームが5週にわたって世界各国を回りながら3戦ずつ計15試合を行なう。大会の前身であるワールドリーグでは予選が9試合(2017年の大会)だったこともあって、決勝ラウンドに進む可能性が高い強豪国の選手たちからは「スケジュールをなんとかしてほしい」という声が挙がるほど、超ハードな日程になっている。

 そのため、予選ラウンドから決勝ラウンドまでベストなメンバーで臨む国は少ない。週によって中心選手が顔を揃えることもあれば、若手選手に替えて経験を積ませることもあり、相手に合わせた戦術が立てにくい大会と言っていいだろう。

 そのなかで、全日本2年目のオポジット・西田有志は、19歳ながらキャリアの浅さをまったく感じさせない成績を収めた。すべての参加選手のうち、ベストスコアラーとベストサーバーに輝くなど、若手の枠を超えて"ガイチジャパン"の主力選手として成長を遂げていることを証明した。

 西田の得点数が多かったことは、各国が選手を入れ替えながら戦っていた影響があり、逆に言うと、全日本の攻撃が西田に集中してしまったという見方もできるが、それでも十分に快挙だ。とくにサーブについては、たびたびチームの苦境を救うなど、まだ10代の日本人選手が世界的なサーバーとなったことは何より明るい材料だろう。

 そんな西田と共に、ほぼ連日で試合に出ていたのは、ミドルブロッカーの小野寺太志と、エースの石川祐希だ。石川は昨季、ネーションズリーグ帯同をやめて体づくりに励み、世界選手権に万全の体調で臨むことができた。そのあとのイタリアリーグでも全試合でスタメン出場を果たし、今年度の全日本合宿では、久しぶりに最初から全体メニューに参加していた。

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