栗原恵は引退か現役続行か。「前向きな決断」の真意が間もなくわかる (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 堀江丈●撮影 photo by Horie Joe

 JTに入団する前に、4年間プレーした日立リヴァーレを退団した際は、引退を考えたという。しばらくバレーから離れ、ヨガなど競技とは別のところに興味を持ちはじめていたが、それを翻意させたのが吉原監督だった。2004年のアテネ五輪の際には全日本女子の主将を務め、Vリーグではパイオニアレッドウィングスでも共に戦った吉原監督は、熱く栗原を勧誘した。

 熟考の末、その熱意に応えることを決意した栗原。5月5日の会見に同席した吉原監督は、「まだ本人の口から引退とは言っていないので、頑張ってもらいたいという気持ちはあります。年齢を重ねても本当にひたむきで、何に対しても真っ直ぐで一生懸命に取り組む、後輩のいい見本になれるような選手。チームとしても栗原という存在は貴重だったと思います」とチームへの貢献を称えた。

 5月12日に開催されたJTのファン感謝祭でも、栗原の今後についての明確な発表は避けられた。最後の挨拶で、他の選手たちと同じように出身高校のユニフォームを着用して登場し、「JTのメンバーとスタッフに恵まれて充実したシーズンを過ごせました」と明るく感謝の意を表しただけだった。

 これまで栗原は、中学時代に地元の学校に入学後、姫路の強豪校から誘われて転校したのを始め、何度もチームを移っている。社会人として初めて入団したチームはNECレッドロケッツだったが、わずか1年で退社し、パイオニアレッドウィングスへと移籍。その後はロシア1部のディナモ・カザン、岡山シーガルズ、日立リヴァーレ、そしてJTへ。

 海外のプロ選手であれば、毎年のようにチームを変えることはそんなに珍しいことではないが、日本人選手では極めて稀だ。果たして「次」はあるのか。それとも、ついに現役生活に終止符を打つのか。栗原の「正式な発表」に注目が集まる。

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