Vリーグの監督が悩む「アジア枠」活用と日本人育成のバランス (4ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

 パナソニックで活躍するポーランド代表のミハウ・クビアクも、「外国人選手、アジアの選手が入ることでリーグのレベルが上がるのはいいこと。でも、個人的には、このタイミングで新たにアジア枠を設けるのはあまりスマートな判断だとは思えません。五輪の後でもよかったですよね。僕も(外国人枠で)プレーさせてもらっている立場ですが、この時期は日本人選手のプレー機会が多くなるべきです」とタイミングに関して疑問を呈した。

 また、アジア枠を使っていないサントリーの荻野正二監督は「(移籍金などで)会社との兼ね合いもあるから、すぐに『アジア枠も使いましょう』とはならない。それに、個人的な考えですが、バレーはコートに立てる人数が少ないから、ふたりも入れてしまったら日本人が育たないんじゃないか」と心配する。

 リーグのレベルを上げる、アジアからの集客・注目度を高めるという点で、とくに選手を獲得できる国の選択肢が多い男子は、アジア枠の効果が大きいかもしれない。ただ、オポジット・攻撃型レフトといった得点源となる日本人選手の出場機会が少なくなることは、この先の全日本の弱体化につながるリスクもある。

 現時点でも、リーグの総得点数で13位までにランクインしている日本人選手は、ジェイテクトSTINGSの西田有志(3位)のみ。Vリーグ機構や各チームがどうバランスをどう取っていくのかも注目されるが、そういった状況に危機感を抱き、大きく飛躍する日本人選手が現れてくれることを期待したい。

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