全日本で圧倒的な存在感。荒木絵里香は10年前より「成長している」 (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

――古賀紗理那選手や新鍋理沙選手も、「すごく引っ張ってくれる」と荒木選手を頼りにしているようです。

「みんな"ヨイショ"してくれてるんです(笑)。本当に大したことはしていないですし、全選手が頼もしいですから。紗理那はケガなどもあって苦しい時期が長かったですが、今年のアジア大会後に『モードを変えた』のを感じました。いい意味で開き直るというか、強く逞しくなって、世界選手権で大活躍してくれた。(木村)沙織も気にかけていて、連絡を取るたびに『紗理那は元気?』って聞いてくるので、それを伝えています。紗理那もうれしいでしょうね。

 理沙も、チームの中で自分のよさをどんどん出していると思います。攻守でレベルが高い彼女がコートにいるだけでチームにいい流れができる。プレーは鋭いのに普段はホワッとしたところがあって、かわいいんですけどね(笑)。今の全日本に欠かせない存在です」

――世界選手権ではどの試合がもっとも印象に残っていますか?

「(3次ラウンド第2戦の)イタリア戦ですかね。フルセットで負けたんですが、あの日のイタリアはあまり調子がよくなかったので、勝てた試合だったと思います。ポジティブに考えれば、大会準優勝チームであるイタリアを『本調子にさせなかった』とも言えますが......やっぱり悔しかったです」

――そういった強豪チームを上回るために、全日本には何が必要でしょうか。

「日本にはブロックの上から打ち抜けるような選手がいないので、急激に攻撃力がアップすることはありません。だから私を含め、すべての選手が個人のスキルをひとつ、ふたつ上げていく必要がある。束になったときの組織力の高さが日本の強みではありますが、1対1で決め切る力など、個人で伸ばせるところは最大限伸ばさないと勝つことは難しいと思います」

――世界の"スーパーエース"と相対する時の対策はありますか?

「まず、そういった選手に万全の状態で打たれたスパイクは、決められてもある程度割り切ること。それを引きずっていると、相手がミスショットをした時に冷静に対応できなくなってしまいますから。また、ブロックでコースを限定し、『このコースに来るよ』というメッセージを後ろの選手が感じられるような"呼吸"を高めていきたいです。

 勝敗を大きく左右する20点以降の点数の取り方、取られ方も大事ですね。単純な打ち合いでは分が悪いですから、そこに持ち込ませないように、相手の思うようにさせない仕掛けをしないといけません」

――積極的にサーブで崩し、拾って粘るということでしょうか。

「サーブで崩すことはもちろんですが、逆に自分たちが崩されてボールを返す時に『少しでも相手に楽をさせないためには、どの選手にボールを取らせたほうがいいのか』といった瞬時の状況判断も大切です。そういう細かいところのクォリティーをどれだけ上げられるかで、勝敗が変わってくると思います」

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