天才セッター・宮下遥が考える「代表復帰のためにいまやるべきこと」 (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

――宮下選手も、自ら情報を発信することはありますか?

「地元の方との交流はけっこう多いので、会話の中で『今週末に試合がありますよ。DAZNというサイトで中継されるんです』とお伝えするようにしています。チームのホームページなどでもお知らせしていますが、そういった地道な活動も大切にしていきたいです」

――話を今年の全日本に移しますが。メインセッターとして起用されていた田代佳奈美選手やと冨永こよみ選手のプレーをどう見ていましたか?

「古賀(紗理那)選手や黒後(愛)選手といった、若い選手の勢いをうまく生かすトスワークがすばらしかったですね。チームとしても、海外の高さのあるチームに向かっていく姿勢を『すごいな』と思いながら見ていました」

――残念ながら宮下選手はその場に加われませんでしたが、悔しさはありませんでしたか?

「悔しいとは思いませんでしたね。『代表に戻って(周囲を)見返したい』という気持ちになることもありませんでした」

――全日本A代表デビューを飾った2013年には、東京五輪の開催が決まったことを受けて「選手としてちょうどいい年齢で東京五輪を迎えられるので、うれしいです」とも話していましたが、心境に変化があったのでしょうか。

「その頃はまだ10代でしたから、『挑戦したい』という気持ちが強かったんだと思います。今は、シーガルズがリーグの1部に上がったばかりですし、自分も成長しなきゃいけない時期ですから、『チームで頑張りたい』という思いのほうが大きくなっています。チームで結果を出した先に代表があると思っています」

――チームを大事にしたいというのは、途中から意識が変わったのですか?

「20代になってからですね。チームに年下の選手がたくさん入ってくるようになって、責任感が芽生えたんだと思います。それまでは全日本でも一番年下でしたし、シーガルズが(2013-2014シーズンに)リーグ2位になったときも、『先輩についていけばいい』という意識が少しありましたから」

――具体的に、自身が「成長しなきゃいけない」と思うところはどこですか?

「全部です。ハンドリングやトス回しにしても、ひとつの技術が向上しただけでは『成長した』とは言えないと考えていますから。技術面だけじゃなく、人を動かせる、チームメイトに安心感を与えられるといった、精神面での支柱的な存在にならないといけないと思っています」

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