女子バレー中田久美監督が描く、「東京五輪メダル」へのロードマップ (5ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

――ネーションズリーグの後には、8月にアジア競技大会が控えています。かつて全日本男子のキャプテンも務めていた荻野正二さんは、バルセロナ五輪の後に「アジア競技大会は"オリンピックのちっちゃい版"だった」と表現していましたが、そういった意識はありますか。

「まったくその通りで、東京オリンピックのシミュレーションと位置づけています。会場に帯同できるスタッフの数が制限されることや、他競技の選手と選手村で共同生活を送るといったことを経験していない選手もいますので、いい機会だと思います。そこでうまくいったこと、いかなかったことをピックアップすれば、オリンピックの準備に活かすことができる。普段とは違う環境でコンディションを崩してしまっては、存分に力を出すことはできません」

――9月下旬から日本で行なわれる世界選手権では、「絶対に表彰台に上がる」と目標を掲げた一方で、「すごくプレッシャーを感じる」とも発言されていましたが。

「1964年の東京オリンピックで全日本女子が初代女王となってから、女子バレーはメダルを求められ続けてきた種目です。そして、これはスポーツ界全体に共通することですが、2020年の東京オリンピックは『次世代につなげる』という点においても、大きな意味のあるオリンピックです。監督は、やると言ったことを最後までやり遂げなければならないのが仕事ですから、今年の世界選手権に限らず、どんな大会においても『プレッシャーがない』と言ったら絶対に嘘になる。でも、そのプレッシャーから逃げずに、自分のエネルギーにして戦おうと思っています」

――昨年のグラチャンバレー(ワールドグランドチャンピオンカップ)の後に、昨シーズンを終えた時点でのチームの達成度を「40%」と評価していましたが、今シーズンはそれをどれくらいまで上げたいと考えていますか?

「65%か70%といったところですね。セッター陣が成長して、黒後や井上といった若い選手が戦力として確立されれば、それくらいまでいけると思います。とにかくサイドアウト、レセプションアタックをしっかりして、サーブからも攻めていき、いい循環を作っていきたい。そのために工夫しながら練習していることが、実戦でどれだけ通用するか楽しみです」

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