ビーチバレー坂口佳穂、顔面タンコブ負傷のまま、気迫のツアー初優勝 (4ページ目)

  • 小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi


勝負どころで決まった坂口のサーブ勝負どころで決まった坂口のサーブ ここで、サービスの順番は坂口に回ってきた。サーブについては、以前よりも自信を深め、練習を重ねて精度を上げてきた。

「絶対に決める」

 悪い流れにあっても、坂口は怯(ひる)まなかった。意を決して放ったジャンプフローターサーブは、ライト側に構える田中のさらに右側、サイドラインぎりぎりに逃げながら落ちていく。田中は懸命にレシーブするも、ボールはネットにかかってサービスエースとなった。

 22-21。再びセットポイントを奪い返すと、坂口の気合いは一層増した。続けて放ったサーブも、まったく同じ軌道を描いて同じ場所に飛んでいった。

 今度は田中もボールに触れるのが精一杯。ボールは真横に弾み、坂口&鈴木ペアが第2セットを奪って、セットカウント1-1のタイとした。

 最終セットもお互いに譲らぬ白熱した展開となったが、「悠佳子さんが『(スパイクを)どうやって決めればいいのかわかった』と言っていたので、大丈夫だと思っていた」と坂口。一時は相手にリードを許す場面もあったものの、落ち着いたプレーで相手に食らいつき、鈴木の"名誉挽回"を期すクロスへの強打で同点、圧巻のブロックで逆転した。

 そして最後は、相手の田中のスパイクがサイドラインを割って、坂口&鈴木ペアの初優勝が決まった。第1シードとしての意地があり、ホステスプロとしての責任もあった坂口が言う。

「(最後まで)絶対に諦めない、という気持ちを持っていた」

 その言葉を裏付けるように、敗れた浦田はこう語っている。

「あそこは(坂口)佳穂が引っ張るチーム。佳穂が当たってきたときにどうするのか、対応し切れなかった。最後は佳穂の気持ちの強さに負けた」

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