ビーチバレー坂口佳穂、顔面タンコブ負傷のまま、気迫のツアー初優勝 (2ページ目)

  • 小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 最終日、準決勝は石坪聖野(さとの/22歳)&柴麻美(22歳)ペアと対戦。坂口と同い年のチームは、攻守にバランスの取れた侮れない相手だ。

 第1セットは序盤からミスが続いて、相手にリードを許してしまう。なかなか点差を詰められず、「悪い癖が出たら、ズルズルいきそうだった」(鈴木)という。しかし終盤、坂口のスパイクが冴えて追いつくと、デュースの末に24-22で競り勝って第1セットをモノにした。

 第2セットは常に先行したものの、逆に終盤、勝ちを意識してリズムを崩した。その隙を相手に突かれて、猛追されてしまったが、21-18で何とか逃げ切り勝ち。セットカウント2-0とストレート勝ちで、決勝進出を決めた。

 リードされても焦らず、最後まで諦めずに追いつくあたりは、チーム力の高さを感じさせた。一方で、ゲームの立ち上がりと終盤において、精神面での課題が浮き彫りになったことは、決勝に向けての不安材料となった。

 決勝の相手は、浦田景子(40歳)&田中麻衣(34歳)ペア。こちらも有力チームが不在のなか、「(この大会は)優勝しなくてはならない」と繰り返していた強豪だ。

 浦田は、強打を武器とした攻撃力の高いベテラン選手。片や田中は、全日空の現役客室乗務員という異色プレーヤー。ビーチバレーボール選手とキャビンアテンダントの"二刀流"ながら、メキメキと力をつけてきている実力者だ。

 浦田&田中ペアのふたりはこのオフシーズンに、ビーチバレーが盛んなブラジルで長期トレーニングを行なって、フィジカル的にも、技術的にもレベルアップ。大きな手応えを得て、今シーズンに臨んできている。

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