石川の妹、ハーフの逸材、二刀流...。春高バレーは未来の全日本だらけ (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

 そんな下北沢成徳の連覇を阻み、6年ぶりの春高バレー制覇を狙うのは、インターハイ女王の東九州龍谷(大分)だ。2008年から春高バレー5連覇を成し遂げた強豪中の強豪は、インターハイとの2冠を目指す。

 攻撃の中心は、3年生でエースの中川美柚(みゆ)。183cmの長身で、バスケットゴールのリングをつかむことができる跳躍力を活かしたスパイクで得点を重ねる。トスを供給する比金有紀(ひがね/3年)もセッターとしては長身の174cmで、高い位置でトスを上げることで相手をかく乱することができる。このコンビが、相原昇監督が掲げる「相手の攻撃を半減させるくらい圧力のある攻撃を」というテーマを体現する。

 また、金蘭会(大阪)も優勝候補のひとつだ。バレー部の歴史は10年と短いが、現在アメリカ留学中の宮部藍梨が1年生エースとして大活躍し、2015年に春高バレーを制してからは高校バレー界の強豪校として走り続けている。インターハイでは初戦で敗れて悔しい思いをしたが、春高バレーへの切符は7年連続で手にした。

 金蘭会は、レギュラーの多くが全日本ユースや全日本ジュニアに選出されるなど、充実した戦力を有する。「誰が出ても勝てるチーム」という池条義則監督のモットー通り、レギュラー全員が注目選手と言っても過言ではない。なかでも、西川有喜(2年)、宮部藍梨の妹・愛芽世(あめぜ/1年)といった、強力なウィングスパイカー陣が繰り出す攻撃が見どころだ。

 それに対して、八王子実践(東京)は春高バレーでの"覇権奪還"を期す。大林素子や狩野舞子など、錚々(そうそう)たるOGの系譜を継ぐのは、2年生からエースとして活躍する東谷玲衣奈(とうこく・れいな/3年)だ。父がガーナ人、母が日本人のハーフで、最高到達点303cmと全日本女子平均を突破。世界ジュニア選手権でも活躍した逸材が、チームを1993年大会以来の優勝へ導く。

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