エース石川祐希が帰国出場しても、インカレ優勝を逃した中央大の誤算 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 準々決勝の東京学芸大に勝利した後、石川は「4連覇ということは、あまり考えていません。今のメンバー、スタッフでやれる最後の大会を優勝するということだけを考えてプレーしています」と語り、続けて「最大であと2試合しかできないので、明日勝って、しっかり2試合できるように頑張ります......あれ?(準決勝で負けたら)3位決定戦ってあるんでしたっけ?」と笑いながら頭をかいた。3位決定戦があることすら知らない、もしくは忘れていたという事実からも大会3連覇の重みが感じられた。

 準決勝が行なわれる12月2日の朝、中央大との対戦を控えた筑波大の秋山央監督に話を聞くと、「四面楚歌ですが、頑張ります」と、にこやかな笑顔が返ってきた。その言葉通り、会場の大田区総合体育館を埋め尽くす大観衆のほとんどが"石川祐希がいる中央大の4連覇"を望んでいただろう。大声援に後押しされた中央大は、第1セットをデュースの末に取り、第2セットも筑波大の5点のリードをひっくり返した。決勝進出がかかった第3セットも序盤をリードし、中央大がこのまま4連覇に突き進むと思われた。

 だが、筑波大の選手たちは諦めなかった。高校時代に石川のチームメイトとして史上初となる2年連続の高校3冠を達成した、主将でセッターの中根聡太は、「中央大は祐希がいて強いけど、今年こそは絶対に負けない」という強い気持ちで試合に臨んでいた。サイド攻撃とクイック、バックアタックを織り交ぜて中央大のブロックを分断。第3セット中盤で大竹のスパイクがネットを越えないなどのミスも重なり、一気に逆転する。

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