男子バレーを弱いままで終わらせない。清水邦広が誓う東京五輪での雪辱 (5ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 浦川一憲●写真 photo by Urakawa Ikken

――リオオリンピック後のインタビューでは、その先、特にみんなが気にしていた東京五輪について言及することはありませんでしたね。

「そのときは引退を考えていましたから。ロンドンに続いてリオの出場権も逃し、責任を感じていたんです。そろそろ潮時かなと。それからいろいろ考えて、『やっぱり頑張ろう』となったときにケガをしてしまった。決意をした矢先でしたから、かなり精神的に苦しかったです」

――それでも、今季のVリーグ2週目の会見では、はっきりと「東京五輪を目指します」と宣言しました。そう思えるようになった理由は?

「『このままじゃ終われない』という想いですね。全敗で終わった北京オリンピックに出場した選手は、もう数えるほどしかいません。そのひとりである僕が最後の最後まで世界と戦おうとすることが、次の世代にもつながるんじゃないかと。まだまだ僕が男子バレー界を引っ張っていかなくちゃいけないと自分を奮い立たせたんです。そのために、まずはリーグで結果を残して、全日本にまた選んでもらわなくちゃいけません」

――今季は、谷村孝(※)さんに捧げるシーズンでもありますね。
※入社してから2016年に引退するまでパナソニックで共にプレー。今季のリーグが開幕する直前の9月に、心室細動による急性循環不全により35歳の若さで急逝した。

「谷村さんは偉大な先輩でした。チームメイトは、家族より長く一緒の時間を過ごす仲間。訃報を聞いたときは信じられず、パナソニックのメンバー全員が悲しみを抱えています。でも、一番つらいのはご家族の方です。僕たちが勝利を届けることで、ご家族を少しでも勇気づけたい。それを、天国の孝さんも喜んでくれると思います。孝さんのためにも、今季は必ずこのチームで優勝します。

 チームの優勝に、自分の全日本への復帰がつながればいいなと思います。現役を続けている間は、オリンピックが最大の目標であり夢でもある。すでに30歳を超えてベテランの域に入っていきますが、日本のトップ選手であり続けたい。そして東京オリンピックに出て、今度は勝ちたいです!」

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