ああ、グラチャン全敗。それでも中垣内ジャパンにかすかな光が見える (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 ただしこれは、もともとの期待値が高いことや、柳田だけの評価を求められるなど、メディアの"特別扱い"を意識した対応のようにも見えた。実際に、第3戦のイタリア戦後には、石川不在の影響を聞かれた際に、「石川がいないことで、僕が感じるのは柳田が非常に責任感を持ってプレーしてくれていること。サーブもサーブレシーブも頑張っていた」と、その奮闘を称えていた。

 名古屋での2戦で、柳田より苦しんでいたのは、オポジット(セッター対角の攻撃専門のポジション)の大竹壱青だった。初戦のアメリカ戦で11打数4得点4失点。続くフランス戦で3打数2失点と精彩を欠いてしまう。ここで大竹は、現役時代に中垣内祐一監督とバルセロナ五輪に出場した経験のある、父の秀之氏に助けを求めた。電話を通して思い切り泣き言をぶちまける息子に、秀之氏は「思い切ってやるだけだ!」とゲキを飛ばした。

 そのおかげか、第3戦のイタリア戦は途中出場で25打数13得点と復調の兆しを見せ、第4戦のイラン戦は33打数15得点で、サービスエースと合わせて16得点。チームのベストスコアラーとなった。大竹にその経緯を聞くと、「名古屋大会の自分があまりにも情けなくて、父の助けを借りました。そこで吹っ切れて、アドバイスに従って、足の長いスパイクを打つようにしたら、シャットアウトされることが少なくなったんです。手応えがつかめました」と、少し照れくさそうに答えた。

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