ビーチバレー選手たちの悲痛な叫び。
隠蔽されかけた「不祥事」の顛末

  • 小崎仁久●文 text&photo by Kosaki Yoshihisa

 それが、また問題だった。担当者の説明に疑念を抱いたその選手は、今度はビーチバレーボールの強化事業を担う事業副本部長に、説明を求めた。すると、単にFIVBへの申請をし忘れたことを、担当者が認めたというのだ。つまり、その担当者は当初虚偽の説明をして、自身の責任を逃れようとしたわけだ。6月2日のことだった。

 人間、誰しもミスはある。しかしそのミスを隠して、うやむやにしてしまおうとする姿勢、そうした組織の体質には問題があるのではないか。また、担当者ひとりに任せて、組織としてチェック機能が確立されていなかった点にも問題がある。

 当事者である選手が、力のない声でこう話す。

「東京五輪に向けて、今はツアーポイントをどんどん貯めないといけない。でも今季は、5スターの大会に出られるのが、ポレッチ・メジャーがおそらく最後だった。前々から計画を立てて、せっかくそこに照準を合わせてやってきたのに......」

 大きな希望を、他人のミス、それも信頼していたJVAのミスで奪われた選手のショックは計り知れない。それでも、「そこで(JVAから)誠意ある対応があれば、まだ気持ちも落ち着いていたと思う」と、ある選手が漏らす。

 問題はこれで終わりではなかったのだ。ミスが発覚した際、JVAがしかるべき対応をしていれば、選手たちのショックが増大することも、JVAに対する信頼が失われるようなこともなかったはずだが、なんとJVAはそのミスを一切公表しなかった。しかも、ポレッチ・メジャーには男女全7チーム、14名の選手が申請していたにもかかわらず、問い合わせてきた選手以外には、何の説明も、謝罪もしなかったのだ。

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