サオリン、カナ...世界と戦える選手を育てる下北沢成徳・小川監督の教え (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

 いかに理想的なフォームがあっても、入学当初から選手全員にそれをたたき込むのには違和感があるという。「それもひとつの方法なのかな」と思う一方で、「骨格や筋力のつき方、動かし方に個人差があるのに、フォームは全員同じ」であることは受け入れられなかった。完全に間違った動きでなければ、選手によってフォームが違っても問題ないというのが、小川監督の考えだ。

トレーニング中も、あまり口を出さずに選手を見守る小川監督(右)トレーニング中も、あまり口を出さずに選手を見守る小川監督(右)

 選手が「体をこう動かしたい」というイメージ通りに動けないのは、体の使い方が下手なケースと、体の機能をうまく活かせないケースがある。体の使い方についてはフォームを修正することで対応できるが、体の機能をうまく活かせないのは、稼働しなければならない筋肉がうまく動かない状態にあるためで、「それを改善するにはフィジカルトレーニングが必要」だと小川監督は話す。しかしそれが、選手のスカウトに影響することもあるそうだ。

「中学生の選手をスカウトする時に嫌がられることはけっこうありますよ。メディアの取材などで、ウチの練習内容はバレてますから、『私、フィジカルトレーニングは嫌いなので』『走り込みは苦手』といった理由で断られたことが何度もあります。今は、それなら仕方ないなと思えるようになりましたけどね」

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