1日だけ木村沙織と練習して入れ違い。黒後愛が日本の新エースへ第一歩 (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 東レの菅野幸一郎監督は、「育成を目的として我慢して出しているわけではなく、ご覧になっていただければ分かるように、即戦力として見ています。『ポスト・木村』と言われていることは知っていますが、木村とは時代もやっているバレーも違うので、一概には比べられませんね。ただ、木村と同じように全日本を背負って立つ選手になることは間違いない。この大会でも予想以上に頑張ってくれましたし、今後はウチでも全日本でも主力となってくれるでしょう」と期待を込めて語る。

 黒後自身も木村を目標としていたが、「私が最初に練習参加した、ちょうど前日に沙織さんの引退会見があったので、1日だけしか一緒には練習ができませんでした」と、残念そうに話した。

「(木村には)入社前に練習を見に来た時と、カテゴリ別の代表に呼ばれてシニア全日本を見学に行ったときに声をかけていただきました。『私のこと、覚えていてくれたんだ』って嬉しかったんですけど、後からリオさん(迫田さおり)に、『沙織さん、愛のこと名前間違えていたんだよ』って笑いながら教えられて、『あれ?』ってなりました(笑)。

 でも、沙織さんはバレーをやっている誰もが憧れる人で、もちろん自分の憧れでもあります。自分の中では、リオ五輪の最終予選で、『自分が決めるんだ』『自分がオリンピックに連れていくんだ』という気持ちが前面に出ていて、胸を打たれました。沙織さんを目指して、あれくらいのレベルの選手になりたいです」

 全日本でのプレーが最初に見られるのは、7月14日から16日に仙台市体育館で行なわれるワールドグランプリになる。鮮烈デビューを飾った黒後の活躍に注目したい。

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