1日だけ木村沙織と練習して入れ違い。黒後愛が日本の新エースへ第一歩 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 サーブのスピードや前後の揺さぶりの質の高さにも驚いたというが、それにも試合中に慣れ、レセプション後に攻撃に入ることもスムーズにできるようになった。東レのチームメイトで、リオ五輪代表にも選ばれたセッターの田代佳奈美は「トスの好き嫌いがあまりなくて、どんなトスでも打ってくれるので、セッターとしては助かりますね。勝負強いので任せられます」と高く評価する。

 グループ予選最終日の日立戦では、第1セットを先取された後、2、3、4セットを連取。第4セットは30-28の大接戦だったが、20点以降の勝負どころで黒後の鋭いスパイクがクロスに炸裂した。2枚ブロックがついても、ものともせずに打ちこなしていく姿には観客席からもどよめきが起きていた。

 父親は宇都宮大学バレー部を一部に昇格させた名将で、母、姉もバレー経験者という「サラブレッド」の黒後が全国に名を広めたのは高校時代だ。3月に引退した木村をはじめ、荒木絵里香や大山加奈らを輩出した名門・下北沢成徳で1年生からレギュラーとして活躍。主将・エースとして出場した今年1月の春高バレーで連覇を達成し、2年連続で大会MVPに輝いた。

 身長180cmながらレセプションもこなすサイドアタッカーで、今年度は全日本にも選出されている。プレースタイルや東レに入社するまでのバレー人生も木村沙織と似ていることから、早くからその後継者として期待されていた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る