引退まで3ヵ月。木村沙織「ひとりでも多くの人に来てほしい」 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari  中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT


「サーブレシーブはほとんど沙織さんとミサ(美里)がとってくれるので、自分は攻撃に集中するだけです。正面に来たサーブだけ自分が担当する感じです。沙織さんとミサには大きな負担をかけてしまいますが、その分。攻撃枚数を増やして、相手のブロックを割っていきたい。今、東レアローズは、ひとつひとつ積み重ねている途中。いいことも悪いことも感じながら、少しでも成長して、今シーズンの最後に笑顔でいられるよう、今を頑張り抜きたい」(迫田)

 木村は準決勝の前日の囲み会見で、「最後の皇后杯」について感慨があるかを聞かれ、「それよりも全日本を含めて、ここ最近、決勝の舞台に立っていない。妹も含めて、今のメンバーは優勝を経験していない。だから、今のメンバーになんとしても決勝の舞台と、優勝を経験させてあげたい」と胸の内を明かしていた。

 そんな木村の「どうしても勝ちたい気持ち」は、日立戦でチャンスボールを返すときにも表れた。ふんわりとしたボールではなく、直線的なボールを日立コート奧に目がけて押し込んだ。しかし、そこにはリオ五輪をともに戦ったリベロ、佐藤あり紗がポジショニングしており、佐藤はすぐさまそのボールに反応し、反撃につないだ。

「試合中に、沙織さんの『どうしても勝ちたい』という思いは痛いほど伝わってきたので、あそこであのボールがくることも予想はついていました。ここでしっかりと対応することが、私なりの沙織さんへの恩返しになると思い、きっちりと拾いました」(佐藤)

 会見の後半、木村沙織は前を向いて、今後の目標をはっきりと述べた。

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