木村沙織のラストイヤーが開幕。試合後に語った「あと1年」への想い (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 浦川一憲●撮影 photo by Urakawa Ikken

 木村は2012年のロンドン五輪銅メダルの立役者となったあと、一度は引退を決意していた。トルコリーグに年俸約1億円で移籍し、「オリンピックでメダルも獲れたし、海外リーグも経験できたので、もういいかなと」という発言もあった。しかし、それを何とか引き留めたのが、眞鍋政義前全日本監督である。

 トルコにも足を運び、そこで「全日本のキャプテンをやってほしい」と切り札を切った。「え? 無理です」と即座に断られたが、帰国してからも何度もメールで説得。ついに引退を翻意させた。だが、2014年世界選手権では7位、2015年ワールドカップでは5位、リオ五輪ではベスト8。ロンドン五輪までの4年間とは異なり、期待に応えることができなかった。

 木村はリオ五輪後、進退について迷い続けていた。五輪前には「今回の五輪で最後にする」とあちこちで言っていたが、9月10日に行なわれたVリーグ50周年記念大運動会でのリオ五輪報告会では、「今回五輪という大会が他と違ってすごい大会なんだということを再認識して、その大会を母国でやるということのすごさも感じています。今後のことは、また全日本代表に呼ばれたときに考えます」とコメント。東京五輪への意欲が出てきたか? とも見られた。

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