大林素子さんが「愛のムチ」。女子バレーは東京へ大型選手育成を急げ (5ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by JMPA

――ベスト8どまりでしたが、大会を通して得られたもの、収穫はありましたか。

「若い世代がオリンピックを知ることができたこと。そして、日本のサーブはいいのですが、外国のサーブはもっといいから、日本はいいサーブでなおかつ絶対ミスをしてはいけない。海外のチームはミスがあっても他で補って、決められる。日本はそこでミスは許されない。

『気持ちじゃないんだよ』と言われますが、『オリンピックで、どれだけ気持ちが大切なのか、みんな知っていますか?』と言いたい。思いがなければ、プレーはできない。その前にあるのは、もちろん技術。でも、オリンピックは技術があっても、メンタルでやられては実力が出せない。男子決勝のイタリアもそうでしたね(※2)。技術で説明できないものがあるんだよ、ということが伝わればいいなと思いながら、現地ではしゃべっていました」
※2 ブラジルがイタリアに、3-0のストレート勝ち。会場の雰囲気に飲まれ、イタリアは実力を発揮できなかった

――東京五輪につながる、これからの選手を発掘しないといけないですね。

「全日本での実績もある古賀(紗理那)や大竹(里歩)、高校生の宮部(藍梨)は当然やらなきゃいけない選手。特に直前でメンバーから漏れた古賀は一番悔しい思いをしているはず。大竹は『私がやります!』という気迫がある。ナイジェリア人の父を持つ宮部は身体能力が非常に高い。

 でも、もう攻撃だけ、ブロックだけ、なんていう選手は通用しない。つなぎ、トス、ブロック含めて、平均点で8、9点にいかないと。海外には190cm以上の選手でもレシーブ力が高い選手がたくさんいる。大きい選手はレシーブ免除なんていう時代じゃない。全部できないといけない。そう、リベロの制度がなかった80年代に戻る感じ。

 春高(高校選手権大会)で活躍した黒後愛(180cm)、東国玲衣奈(171cm)も含めて、若くて身長がある選手を鍛えていかないと。あと岩坂名奈(187cm)。やっぱり高さが欲しいから。サーブもいいし、ブロック力もあるし。中学や高校で身長の高い選手を発掘して育成していくべき。チームコアもやっていますが、それをもっと強化していかないといけません」

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