決勝Tまであと一歩。ビーチバレー坂口佳穂が見せた大胆スタイル (3ページ目)

  • 小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

「決めなくてはいけないところで決められなかった」

 試合後、坂口はそう語り、肩を落とした。

 これで、今季ツアー6試合を消化して2勝4敗という坂口&鈴木ペア。その戦績からは、目標達成にはまだ時間がかかりそうに見えるが、負けた4試合はすべてフルセットまでもつれ込んでいる。今回、田中&藤井の元日本代表ペアにも接戦を演じたことから、決勝トーナメントの舞台まであと一歩であることは間違いない。

 坂口が語る。

「(決勝トーナメント進出まであと少しとはいえ)フルセットで負けているのは、大きな課題。パス、トスの緻密さがもっと必要だし、精神的な部分も......。でも、ここを乗り越えたら、成長した証になると思う」

 また、坂口は今回、劣勢の中でもオーバーハンドトスを繰り出した。オーバーハンドトスはアンダーハンドトスよりトスの精度は上がるものの、反則を取られやすいプレー。世界レベルでは当たり前であっても、勝負どころで行なうには、技術と精神的な強さが要求される難易度の高いプレーだ。

 しかし坂口は、「アンダーハンドに逃げるのではなく、オーバーハンドを粘り強くやり続けることが大切」と、そのプレーの重要性を理解し、果敢にチャレンジし続けていた。その姿勢からは、今後に向けての可能性を大いに感じる。

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