決勝Tまであと一歩。ビーチバレー坂口佳穂が見せた大胆スタイル (2ページ目)

  • 小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 田中&藤井ペアは日頃から一緒に練習をこなしている相手。その分、坂口も鈴木も対戦前には、「(相手の長所も短所も)よく知っている」と難敵攻略に手応えを見せていたが、裏を返せば、それは相手も同じこと。手の内を知られている田中&藤井ペアに細かな対策を立てられ、その戦術にはまってしまったのだ。

 さらに、田中&藤井ペアが仕掛けてきたテンポの速い展開についていけず、焦りが生まれた。坂口&鈴木ペアはそのまま流れをまったくつかめずに、16-21で第1セットを落とした。坂口が言う。

「(田中&藤井ペアは)トスが低くて速い攻撃が多い。警戒していたけど、それに対応し切れなかった」

 第1セットの結果を受けて、ふたりはセット間に話し合い、第2セットではサーブ、スパイクのコースに変化をつける作戦に出た。これが奏功し、攻撃のリズムをつかむ。序盤からリードを許す状況にありながら、鈴木のサーブ、スパイクが効果を発揮してから、得点差をじわじわつめていった。そして終盤、ついに追いついて逆転。セットカウント23-21で奪って、1-1のイーブンに戻した。

 第2セットの勢いのまま、最終セットも坂口&鈴木ペアが先行。待望の決勝トーナメント進出がいよいよ見えてきた。が、その現実味が増したことで逆に硬くなったのか、徐々にサーブが甘くなって、ミスも目立ち始める。中盤以降は守勢に回り、セットカウント10-15で敗戦。予選プール突破はまたも果たせずに終わった。

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