早くも崖っぷち。エース石川祐希は「自分らしさ」を取り戻せるか (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 伊藤真吾/アフロスポーツ●写真 photo by Ito Shingo

 石川は言った。

「自分たちのサーブが機能しなかった。ミスだったり、シャット(相手ブロック)だったりという部分で点をとられたので、相手にやりやすいバレーをさせてしまった。いつも通りという風に意識してやったんですけど」

 昨年のW杯での活躍後、石川、柳田はその清らかなルックスも相まって注目を集めてきた。雑誌の特集号が次々と組まれ、この大会の前売り券も完売している。どんなに人気があっても、石川はうぬぼれも気負いもなく、浮かれることはない。

 ただW杯と違って、今大会は相手チームからはきっちり分析されてきた。マークもきつくなる。さらに昨年末からは古傷の左ひざが悪化し、2カ月間ほどジャンプを控えていた。「ひざはもう大丈夫」と強気だが、十分な練習ができなかったことがプレーに微妙な影響を与えているかもしれない。

 もちろん、才能は文句なし、である。柔らかく、年齢に不似合いな落ち着きがあり、それでいて度胸を備えている。「修正能力」も磨かれている。初めての五輪をかけた最終予選にあっても、特に緊張する素振りは見せなかったのだが。

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