負傷の木村沙織がフル回転! 全日本女子、リオ五輪出場決めた (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  中村博之/PICSPORT●写眞 photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 こんな迫力ある木村はいつ以来だろう。1本のサーブ、1本のレシーブ、1本のスパイクに魂を込めた。高いブロックを打ち抜く。ポイントが決まれば、気迫のガッツポーズ。

 第1セットは、22-22から木村の連続スパイク得点で突き放し、そのまま押し切った。2セットを返された後の第4セットでも、木村のスパイク得点、サービスエースでポイントを重ねた。最後は木村のレフトからのスパイクを相手ブロックに返されたが、宮下が拾ったボールがネットを越え、相手のコートにぽとりと落ちた。25-21、2セット奪取。リオ五輪が決まった。

 試合前、2セットで五輪切符と聞いていたが、木村は「それが本当なのかどうか、ちょっとあやふやで」と笑顔で思い出した。

 そのとき、会場に「日本チーム、リオデジャネイロ・オリンピックが確定しました」とのアナウンスが流れた。満員スタンドから歓声がどっと湧き起こった。

 木村が言葉を足す。

「第4セットの最後の1点がなかなかとれなくて......。1点の重みを改めて感じました。(場内アナウンスを)聞いた瞬間、ちょっとだけホッとしました」

 女子バレーボール界において、五輪出場は最低条件だった。「五輪出場は当たり前」という重圧を木村はチーム一丸を強調することではねのけた。自身、4度目の五輪出場となる。2004年のアテネで初めて五輪の舞台を踏んだのは初々しい17歳のときだった。

 もう29歳。たくましい主将として、エースとして、チームを引っ張る。この日はひとりで31得点をマークした。スパイク決定率は前日までより15%ほどアップし、46%に跳ね上がった。その迫力たるや、眞鍋監督に「久しぶりに背中から炎が出ているように感じました」と言わしめた。

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