【男子バレー】19歳のエース、石川祐希がリオへの道を切り開く (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari 坂本 清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 女子と異なり、中東やアフリカ勢も力をつけてきている男子には、明らかな格下は存在しない。今年度は「ベテランは充電期」とのことで、昨年の主将だった越川優や福澤達哉を招集せず、「NEXT4(※)と名付けた若手4人を中心にすることが発表されていたが、そのうち石川、柳田の2人は確実に全日本の主力と言えるまで成長した。
※石川、柳田、高橋健太郎(筑波大)、山内晶大(愛知学院大)の若手4名

 石川はやはり桁外れの選手だった。11試合中5試合でチームベストスコアラーをマーク。スパイクだけでなく、サーブ、ブロックでも得点を重ねた。中盤にサーブが入らなくなって苦しむ場面もあったが、彼がすごいところは、サーブの不調が他のプレーに影響しないことだ。メンタルの弱い選手だと、サーブが入らないとスパイクなども引きずられて不調になる悪循環に陥る。石川にはそれがない。終盤ではサーブも復調し、柳田とともにエースを量産した。

 また、石川によって意識が変わった選手もいた。セッターの深津は、これまでは低く速いトスを特徴としていたが、今年度の全日本の招集があってすぐに、昨季イタリア・セリエA1のモデナに留学していた石川に、「世界に通用するトスは、もっと高く、スパイカーに選択肢を与えるトスです」と教えられ、持ち味をがらりと変えた。ミドルブロッカーへのトスも、山内晶大(愛知学院大)や出耒田敬(堺)についてはネットから離し、高いものにした。

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