【男子バレー】JT創部84年目の初V。チームを変えた3人の男たち (4ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 深津は昨季、リーグと黒鷲旗大会の決勝で弟の英臣(パナソニック)とネットを挟んで対戦。いずれも弟に軍配が上がった。今季リーグ途中にあった天皇杯ではやはりパナソニックとの決勝戦となり、チームは7年ぶりの優勝を遂げたが、この試合では彼自身はコートに立てなかった。

「天皇杯の優勝はコート上で迎えられなくて悔しかった。優勝の瞬間にコートの上にいられて、それがチームの歴史上初めてのリーグ優勝で、こんなにうれしいことはないです」

 越川によると、深津は「感性でトスを上げるタイプ」だそうで、相手チームや試合の流れによってトス回しを変える。前述したように決勝ではバランスよくトスを散らし、すべてのアタッカーの力を最大限引き出した。

 影の功労者、栗生澤GMは、目頭を赤くして優勝をかみしめていた。

「先輩方あっての今だというのは重々承知した上で、優勝を成し遂げた今のメンバーを十分に褒めてあげたいし、OBの方たちも(現役選手を)褒めてもらいたい。(ミュンヘン金メダルセッターの)猫田(勝敏)さんにも、近々お墓参りして報告するつもりです」と遺影を抱えて、優勝記念の写真に納まった。

 名門JTが新たな歴史の一歩を踏み出した。自信と実績を積み上げたチームが、今シーズン最後の大会となる黒鷲旗(5月)でどんな戦いぶりを見せるか、注目したい。
 

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