【女子バレー】V・プレミアリーグ開幕、久光製薬の3連覇はあるか? (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 石山慎治●写真 photo by Ishiyama Shinji

 岡山には、7月に廃部になったパイオニアから浅津ゆうこ選手が加入していますが、この選手も、現役時代に対戦するのがいやな選手でした。岡山でもきっと光るものを見せてくれるはずです。

 このチームは、昨季はチーム史上初の準優勝でしたが、久光と東レの優勝争いに、マイペースで絡んでいくのではないでしょうか。

 私の古巣、NECについて。注目して欲しいのはミドルブロッカーの大野果奈です。全日本にも選出されて、活躍しましたね。NECはこの大野と島村春世の二人のセンター線が私の推しです。幅の広い、パワフルなスパイクを打てるミドルブロッカー達です。このセンター線に、サイドアタッカーの近江あかりが加わって、相手チームのブロックをかき回してくれると思います。また、今季、JTからセッターの山口かなめ選手が移籍してきました。NECには秋山美幸といういい司令塔がいるのですが、ケガが多く、シーズン通してトスを上げることが難しい状況なんですね。ここに山口選手が入ってきたのは大きいです。

 今季はパイオニアの廃部、強豪の1つだったJTの降格があったために、移籍が非常に多かった年でもありますが、栗原恵選手も岡山から日立に移りました。日立はエースの江畑幸子がフランスのカンヌに、もう一人の点取り屋の高橋沙織がトヨタ車体に移籍し、監督もバルセロナ五輪代表の松田明彦氏になって、チームががらっと変わりました。

 松田さんはずっと男子畑の方だったので、女子バレー独特の雰囲気に驚かれたかも知れませんね。そんな中でメグはプレイだけでなく、精神的な支えとして大きな存在になってくれると思います。

 2014/15シーズンは、リーグのルールが大きく変わりました。これまでは勝敗数・セット率・得点率でレギュラーラウンド上位4チームがファイナルラウンドに進んで、優勝を争う方式でしたが、今季からは国際大会のルールと同じ「勝ち点制」が導入され、3-0、3-1で勝ったときは3点、フルセットで勝ったときは2点、フルセットで負けたときは1点獲得するシステムとなりました。

 勝ち点で上位6つのチームがファイナル6に進み、総当たりをして上位3チームがファイナル3へ、最後にファイナルで優勝が決まります。これまでは4強に残りさえすればファイナルでの条件は変わらなかったのですが、新ルールではレギュラーラウンドの順位ごとに勝ち点が与えられ、ファイナルラウンドにも影響が及ぶことになりました。

 このルールの採用により、リーグの終盤までずっと1セットを大切に戦い続けなければならなくなり、勝ち点1の差で笑ったり、泣いたりということが起こるかもしれません。プレイする側としては大変ですが、見ている方にはおもしろいシステムになったと思います。

 11月から始まり、来年4月まで戦うリーグは、チームの総合力が問われます。長いシーズン、チームの調子が上がらない時もあるし、ケガ人が出たりすることはある程度織り込み済みでいなければなりません。また、チームもその間にどんどん完成度を上げていき、シーズン終盤には、開幕当初とは別のチームのように成長することもあります。そういう意味でも、やはり短期決戦のトーナメント大会とは違った重みがあり、おもしろいところです。

 今季は動画サイト「ニコニコ動画」で、なんと男女全試合を放映するんです。地上波では、なかなか試合の中継がないので、これはとてもありがたいことです。全日本の活躍でバレーに興味を持ってもらった方などに、ぜひ、Vプレミアリーグの映像を見て楽しんでいただけたらと思います。

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