2014.10.01

【男子バレー】南部ジャパン、リオ五輪への道は開けるか?

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 今大会、戦うのはネットを挟んだ相手だけではない。第4戦のタイ戦終盤、2枚替えでコートに戻ろうとした清水と深津のメンバーチェンジのコールが認められず、しかたなく椿山と内山良平のコンビがコートに戻ろうとしたところ、なんと深津だけは認められて椿山と交代するはめに陥った。つまり、コートの中にセッターが2人、攻撃専門のオポジットがゼロというピンチに。この時、とっさに「深津が(トスを)上げる!」と大声で指示を出したのが越川だった。おかげでコート内に大きな混乱は起きず、落ち着いて米山がトランジションアタック(※)を決めてブレイクし、清水もコートに戻って事なきを得た。この時の交代を司る副審は、その前のクウェート戦で主審を務めており、この時も、日本がサーブ位置についてからのクウェートのタイムアウトのコールを、遅延行為としてイエローカードを出したにもかかわらず、ワンプレイ挟むことをせずに結局そのまま受理した。日本の抗議にもかかわらず、この判断が覆(くつがえ)ることはなかった。
※相手スパイクをレシーブして、攻め返すことを「トランジションアタック」と言う。サーブレシーブからの攻撃は「レセプションアタック」

「アウェーだからというか、単純にあの審判の個人的な技術不足なんでしょうけど、まあそういうジャッジが1本や2本あったからといって、流れを持っていかれてしまうようでは世界で勝てない。そういうことも織り込み済みで勝てるようにしないと。あのとき、深津が上げることを指示したのは、それまでメインでいい流れを作っていたのが深津だったからというのと、内山が上げることにすると、ローテーション的に僕が打ちにいくのが難しくなって相手にブロックを絞られやすくなってしまうのでそう判断しました」(越川)
 
 一番大事なことは、ここでぐずぐずして、どちらがトスを上げたらいいのかわからないまま笛が鳴って、セッター2人が譲り合ってお見合いするか、最悪の場合は2人とも上げにいって交錯してしまうのを避けること。突発的なアクシデントにもよく対応することができた。

 日本は1日の準々決勝でインドと当たる。インドはリベロ以外の平均身長が196センチを超え、日本のそれを4センチ上回り、植田ジャパン時代のアジア選手権では敗れている決して侮れない相手だ。インドに勝つと準決勝で、韓国とタイの勝ち抜けた方と対戦することになる。韓国は開催国であり、昨年世界選手権の出場権を争って惨敗したチームでもある。決勝に来るのはおそらく今年度のワールドリーグでブラジルに勝ち越した、ここ数年で世界でも通用する強豪国となったイラン。韓国もイランも日本が出場できなかった世界選手権にA代表を送っていたが、韓国は1次ラウンドで敗退、イランもセミファイナルに残れず、そのままのメンバーが今大会に回ってくることとなった。

「(準決勝で)韓国とイランのどちらが先に来るかはあまり気にしなかった。どちらもオリンピックに出るためには倒さなければならないから。決勝まで行けば、あとは勢いで何とかなると思うので、そこまでの一戦一戦、しっかり勝っていきたい」(越川)

 リオ五輪に出場するためには、来年夏のワールドカップで2位以内に入るか、最終予選大会でアジア枠トップ、または大会自体の上位に食い込まなければならない(詳細は未定)。越川の言葉通り、アジアの中で負けるわけにはいかないのだ。残り3試合で南部ジャパン初年度の真価が問われる。

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