【男子バレー】南部ジャパン、リオ五輪への道は開けるか? (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 緒戦のサウジアラビア戦のゲーム中にオポジットの清水邦広が足首をひねり、第2戦のパキスタン戦は大事をとって出場せず、控えの椿山竜介で通した。第2、第3セットは越川と同い年のベテラン米山裕太に代わって石川祐希(18)がスタメンとしてコートに入った。この試合、ストレートで勝ったものの、3セットとも25-23の接戦。格下のパキスタンにリードを許す場面もあった。越川は一人で20得点を挙げ、両チーム合わせてのベストスコアラーに。ベストスコアラーは必ずしもその試合におけるベストプレイヤーというわけではないが、パキスタン戦のスパイク打数は越川22本、石川17本、椿山21本。決定率がそれぞれ68%、47%、33%。よくある「上がるトスの絶対数がやたら多いせいで、必然的になってしまうベストスコアラー」ではなかった。スパイクの他にもブロック2得点、サービスエース3得点。

「できるだけ若い選手に経験を積んで欲しかったので、セッターの深津(英臣)は、なるべくそちらにトスを上げていましたが、どうしても決めきれなくて得点が欲しい場面には、自分にトスを呼ぶようにしました。勝ったから言えることですが、この若いメンバーで結果を出せたのは本当に良かった」

 南部監督も「コートの中でも外でも、常にチームを引っ張っていこうという姿勢を感じさせてくれる。プレイで見せないといけないというプレッシャーもあったと思うが、予選ラウンドからずっと得点源となって、いい状態を作ってくれた」と合格点を出した。

 サーブに関しては元々ビッグサーバーだが、今大会での調子は素晴らしく、毎試合複数のサービスエースをとり、直接ポイントにならないときも、相手のレセプション(サーブレシーブ)を崩す場面が多い。第3戦のクウェート戦では7本のエースを奪った。5試合ずっとチーム最速サーバーで、時速110キロを超すサーブを放っている。

 もっともワールドリーグの頃は、主将としての熱意が、初代表の多いメンバーの中で若干空回りしているところもあった。「新しく入ってきたメンバーには、日の丸をつけて戦うということの重さをもっと感じて、意識を高く持ってほしい。それをどう分かってもらうか、ミーティングや日々の話し合いの中でそういう話をするようにしていますが、なかなか...」

 南部監督も、「(主将として)チームをなんとか牽引したいという思いが、負担になっていたところもあるようには感じた」とそれを認めている。夏の海外遠征から参加した米山や清水、永野健を含めたベテラン組4名で、そのあたりを上手く回していけるようになったようだ。

「今気をつけているのは、(代表経験が長く、年齢も)上の4人と、それ以外のメンバーとで意識に差が出ないようにということ。日の丸の重さを分かってくれるようになったか? どうなんでしょう(笑)。まだまだこれから感じていくところなんじゃないでしょうか」

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