【男子バレー】悲願の初優勝へ。名門JTが復活した理由 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • アフロスポーツ●写真 photo by AFLOSPORTS

 昨年の覇者、堺ブレイザーズのゴッツこと石島雄介は、「JTの監督に限らず、外国人監督っていうのは、日本人監督に比べて、良いプレイ、悪いプレイの評価を明確にする。そして、日本人選手というのは基本的に勤勉ですよね。今季のJTは、その外国人監督の明確さと、日本人選手の勤勉さが上手くかみ合っている例だと思います」と述べる。

 また、パナソニックのベテラン、川村慎二は「4強の常連だった頃のJTは、外国人選手と日本人選手のバランスがとれていた。ここ7年はそれがちょっと崩れて、外国人選手に頼りすぎるところがあった。今季の躍進は、個人的には越川の加入が大きいと思います。大砲が2枚になったことで当然ブロックも分散するし、サーブ力も高い。それに越川個人のプレイがいいというだけでなく、彼が入ったことによって他の選手の意識がすごく高くなったと感じます。だからケガ人が複数出ても、チーム力が落ちない」と分析する。

 ブコビッチ監督も「越川優と契約したことは、JTのタイトル獲得に対する真剣さを表している」と認めている。監督は、チームを指揮する上で最も大切なこととして、「メンタリティ」を挙げていた。

「7年間も低迷していたチームの意識を改革するのは大変でした。その意味で、越川がプレイ面以外でもリーダーシップを発揮してくれているのは間違いない」

 越川自身はこう語っている。

「去年対戦した時のJTの印象は、正直いって『相手としては楽だな』というものでした。今季、チームに初めて合流した時も、どこか甘さを感じました。『これだけのメンバーがそろっていて、なぜ勝てないんだ』という気持ちでした。今季は、ヴィスコ(ブコビッチ監督)がまず、意識改革に取り組んだことが大きかったかな。もちろん練習の方法なんかも細かいところまで変えていっているし、それを実践して、勝つたびに『これで正しいんだ。これで勝てるんだ』と、みんなが自信をつけてきている。自分の役割については、プレイは当然のこととして、それだけではなくチームを引っ張っていくことも期待されているのはわかっています」

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