【女子バレー】竹下佳江が語る「銅メダルまでの道のりと現在」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by Seki Megumi

――アテネ五輪5位、北京五輪5位、そしてロンドンの銅メダル。5位の壁が越えられたのは?

竹下 どの監督にもすごくいい部分があって、いろんなことを経験させてもらった。眞鍋さんになってからは、今までにないことをどんどん取り入れていきました。その効果が出たのだと思います。それはたとえば、各コーチを分野で分けたり、データ分析をすごくクローズアップされたりとか、今までと違う部分が出てきていたと思います。

――眞鍋監督がセッター出身だったのは心強い?

竹下 それはありますね。どうしてもセッターをやっていないとわからないことはいっぱいあるので。感覚だけでものをいわれても、セッター同士だとわかったりとか。トスについての要求も他の監督よりずっと増えてくるし、具体的ですし。眞鍋監督は、私がすごく小さい頃からプレイを見て、尊敬していた方だったのでよかったです。

――代表になると年齢の幅が大きくなると思うのですが、コミュニケーションをとるときに考えていることはありますか。ジェネレーションギャップを感じたり。

竹下 生活の上ではそんなに一緒にいるばかりではないので、そうはないのですが、バレーに関してはありますね。それこそ、今の若い子たちには、言葉ではっきり伝えてあげないとだめなんだろうな、と。考えて、やってくれるだろう、じゃだめなんです。わかるように説明してあげないと。かといって一方的にわーっと言ってもだめなんです。お互いに会話ができる状況にしないといけないですね。代表歴も短い子、長い子いますけど、眞鍋監督になってからは、日の丸を背負うということはこういうことなんだ、責任があるんだ、国民の期待を背負って、注目度も上がるんだということをしっかり言われている。なかには甘い子もいますが……。それは監督が個人的に呼んで、ちゃんとしなさいと言ったりしていました。すごいなと思います。

――今までたくさんのチームで経験があると思いますが、一番は?

竹下 どのチームというのはあげられないですね。メダルを獲ったこともいい思い出ですけど、今となれば、すごくいやな、試合に負けて、体育館に帰って走り込んだりとかもいい思い出なので、そう考えると、どれもよかったなと思います。嫌な思い出だけのチームはないですね。

――竹下選手にとって理想の選手とは?

竹下 「好きな選手は」とか「憧れていた選手は」とかよく聞かれるんですけど、私自身(159cmという)とても特殊な選手じゃないですか。そういう中で育ってきているので、自分が生きるために、自分らしくやるしかないと思ってやってきました。今回代表にもう一人ちっちゃいセッター(中道瞳・159cm)が入ったんですけど、それが私の中では嬉しかった。ちっちゃなバレー選手にも道が一つできたと思うんです。バレーを始めようと思ってる子からファンレターをもらう中でも、小さいからどうしようと思っているという子がたくさんいる。バレーを通していろんな勉強ができると思うので、やることに意義があると思うんです。そういう子たちに道が開けたなと思います。『失敗しても得るもんがあったらいいよ』と言ってくれる大人がいるほうがいい。周りにいる大人は責任重大ですよ!

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る