日本のテニスコートに帰ってきた大坂なおみ。「テニスに関して、間違った方向にいっているとは思わない」

  • 神 仁司●文・写真 text&photo Ko Hitoshi

方向性は間違っていない

 2022年シーズンは、大坂にとって身辺で変化が多い年だった。

 その変化のひとつである、ウィム・フィセッテコーチとのタッグが解消されたことは、驚きだった。大坂とフィセッテコーチは、2019年年末からタッグを組み、コロナのパンデミックが続くなかで、2020年USオープンと2021年全豪オープンで優勝。"グランドスラム優勝請負人"と言われるフィセッテコーチの手腕は、大坂との取り組みでも発揮された。だが、7月中旬に袂を分かつことが突然発表された。8月のUSオープンテニス前に大坂は、この決断について、こう話している。

「私とウィムは本当にいい時間をたくさん過ごしました。彼は本当にすばらしいコーチです。私たちの別れは、彼がどれだけいいコーチであるかということとは関係ないのです。正直なところ、私自身と、その時の私の頭のスペースに関係しているのです。私はただ、何かをポジティブに変える必要があると感じていたのです。振り返りたくないし、自分がしたことを後悔したくはないんです」

 また、オフコートでは、長年所属していたスポーツ大手エージェンシー・IMGを離れて、大坂自身でスポーツエージェンシー「EVOLVE」を、長年大坂のマネジャーを務めてきたスチュアート・デュギッド氏とともに設立して新たなスタートをきった。今大会前の会見では、意気込みとともに今シーズンのさまざまな出来事を振り返った。

「これまでも毎年、キャリアの最初からさまざまな変化がありました。そのなかでも、今年は確かにいろいろなことが育っていったと思います」と語る大坂は、オンコートでもオフコートでも変化が多いが、自分のテニス方向性は正しいと感じている。

「テニスに関して、私は間違った方向にいっているとは思いません。選手としてテニスは、自分のベースであり、確固たるものを築いてきていますし、それは変わらないです。テニスを通じてさまざまなことを学べています。自分はアグレッシブなプレーヤーですから、その姿勢は貫いていきたいです。

 オフコートでのあらゆることに関しては、いろんな楽しいことや自分が興味をもっていることに接する機会に多く恵まれて、本当にうれしいです。有り難いし、感謝しています。私の携わっていることもいい方向へ向かっていってくれることを望んでいます」

 テニス以外のことでも話題に事欠かない大坂が、モチベーションを保ちながら本当にテニスに集中できているのか、そして、いい方向へ向かっているのか、大坂の言葉を信じたいところだが、今後はやはり大坂自身が結果を残してこそ、それが証明されるのだろう。

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