錦織圭から聞いたことのない発言「カッコいい姿を子どもたちに見せたい」。コートを離れた9カ月間で変わったこと (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

錦織の心境が大きく変化?

 また先日、8月21日開幕のウィンストンセイラム・オープンのワイルドカードを得たが、この大会の開催時期は全米オープンの予選と重なる。錦織は全米オープンにもプロテクトランキングを使わず、158位でエントリーしている。すなわち本戦のワイルドカード(主催者推薦枠)を得られぬかぎり、欠場が予想される状況だ。

 加えるなら、8月中旬にカナダと米国シンシナティで開催されるマスターズ2大会の出場者リストにも、錦織の名はない。復帰戦へのプランとしては、ツアー大会の主催者推薦を期待しつつ、下部大会群に相当する「ATPチャレンジャー」出場も視野に入れているようだ。

 ツアーを離れたこの9カ月間、錦織の内面にも、変わらぬものと、変わったことがあっただろう。

 変わらぬものは、復帰への高いモチベーション。それは6月に行なわれた「ユニクロ所属契約会見」時にもうかがうことができた。

「グランドスラムの決勝だったり、あの舞台にまた戻りたい気持ちがある」。「まずは、トップ10に戻りたい。それまでにゴールはいくつかあるんですが、最終的には、今のナダルやジョコビッチと1回戦ではなく後半に戦える、あの場所にまた戻りたいというのが大きな気持ちです」

 それが、錦織が口にした現時点での率直な「目標」。「ナダルやジョコビッチと後半に戦える、あの場所」という具体的なイメージは、いまだナダルやジョコビッチが頂点に立つグランドスラムのヒエラルキーがあるからこそ抱ける近未来像だ。

 一方で錦織の内的変化も、最近の彼の言動からは多く感じられる。それは、後進や日本のテニス界の未来への想い。

 その最たる例は今年4月、伊達公子が主催するジュニア育成キャンプに、自らコーチ役を志願し沖縄まで足を運んだことだ。

 さらには今夏より、日本のジュニア選手の頂点を決める「全日本ジュニアテニス選手権」のアンバサダーにも就任。「優勝した人は自分と練習ができるなど、自分がサポートできることは進んでやりたいなと思います」と、直接ジュニアと触れ合うことを望んだ。

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