ウインブルドン初出場の宮崎百合子は日本国籍、英国所属。今年3月から特異なキャリアを歩むことになった理由 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

ウインブルドンの結果は?

 その訴えがITFにも認められ、この3月より、彼女の名の横には英国国旗が表記されるようになった。

 現在、宮崎は英国人女子選手の7番手。今回のウインブルドンには、上位4選手がランキングで本戦入りを果たしたため、宮崎に主催者推薦枠が回ってきた形である。結果は単複ともに初戦敗退ではあったが、シングルスでは世界55位のキャロリン・ガルシア(フランス)相手に最終セットタイブレークにもつれ込む大熱戦を演じた。

 自らの実力でランキングを200位まで上げ、グランドスラム予選やWTAツアーにも参戦可能になった今季。そのタイミングで英国選手となったことで、より大きな舞台を踏むこともできた。

 それら一連の経験を、宮崎は次のように述懐する。

「絶対に自信になりました。今週だけでなく、今年のグラスシーズンはいつもより高いレベルの大会に出て、トップ100の選手にも何度か勝ったし、負けた試合も接戦でした。自信になったし、これからもっと上に行きたいと感じます」

 ユリの花は旧来より日本国内で多く栽培されていたのが、開国と同時に多く海外に輸出され、欧米でも人気を誇ったという。

 宮崎百合子----リリー・ミヤザキの新たなキャリアも、芝の青も瑞々しいウインブルドンの地で、大きく膨らみ色づき始めた。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る