大坂なおみ、現在38位でも「来年には再び世界1位」の自信。今季後半戦でランキング急上昇の青写真 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

大坂はウインブルドン欠場?

 ランキング上昇への見通しという意味では、幸いにも、と言うべきか、昨年後半にほとんど試合に出ていないことが今の大坂には味方する。ランキングは基本的に、過去1年間に獲得したポイントの累計で決まるからだ。

 出場大会ごとに獲得したポイントは、1年経つと消失する。つまりは、前年でいい結果を残した大会で早期敗退すればランキングは下がり、前年を上回れば上がる可能性が高いことになる。

 昨年の7月以降、2大会しか出場していない大坂には、失うポイントがさほどない。今年はウインブルドンがロシアのウクライナ侵攻の余波でポイントがつかないことになった。それを受けて大坂は、ウインブルドン欠場の意向を示唆している。そのあたりの決断にも、現時点での優先順位がうかがえた。

 もちろん、ランキングを上げていくには、本人も今季のひとつの目標に掲げる「多くの大会で安定した成績を残すこと」が不可欠だ。今季の大坂は6大会に出場し、準優勝一度、ベスト4が一度あるが、3回戦以前に敗れたのも3度。出場大会数そのものも、ほかの選手に比べれば少ないほうだ。

 それでも昨年、精神的な綻びの始まりとなったこの大会で最後まで戦い抜いたことは、本人も大きな前進と感じているだろう。

 敗戦となった試合を終え、彼女は笑顔でこう語った。

「今はとても幸せな気分。昨年、どんな気持ちでフランスをあとにしたか、よく覚えている。それに比べたら、今年は多くのファンの前でプレーし、去年と全然違う感情でいられるのだから」

 その幸福感を推進力に、再び目指す世界1位の座。そこは一度至った高みだが、たどる順路や目にする景色は、以前と大きく異なってくるはずだ。

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