大坂なおみは当時15歳で世界1024位。9年前に「なんてクール!」と思った元天才少女とのリベンジマッチ

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

5度目の対戦、勝負のカギは?

 その後、両者はこの年だけで2度対戦し、いずれもベンチッチが勝利。そして、最後の対戦から2年半後の今大会で、両者は通算5度目の対戦を控えている。

 過去3度のベンチッチ戦を振り返り、大坂は「あの頃の私は、自分と同年齢や年下の選手と対戦する時、すごく感情的になっていた」と述懐した。

「それがよくないことだとはわかっていた。それでもどうしても、自分にプレッシャーをかけすぎていた。過去の対戦では、メンタリティが敗因の多くの部分を占めていたと思う。その部分こそが、私が最近改善しようと取り組んでいる部分なので、次の試合では、もっと"テニスの勝負"に持ち込みたいと思っている」

 その"テニスの勝負"でいえば、今大会の大坂は、サーブとリターンが好調だ。

 特に準々決勝のコリンズ戦では、相手のファーストサーブにもステップインして跳ね際を叩き、コリンズに構え直す時間を与えない。そして相手のセカンドサーブ時には、ベースラインの1メートルほど内側に立ってプレッシャーをかけ、次々にリターンウイナーを叩き込んだ。

「あのリターンは、練習ではいつもやっているけれど、試合ではなかなかできなかったこと。やるには、胆力が必要になるからね」

 ベンチッチ戦でも必要となるだろう超攻撃的リターンについて、大坂はそう説明した。

 過去の敗因となった「メンタリティ」の揺らぎを排し、「胆力」が勝負のカギになると、大坂は見なしている。

 なお両者の現在のランキングは、大坂が77位で、ベンチッチは28位。数字上で、大坂がチャレンジャーの立場に身を置くのは、9年前の初対戦以来である。

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