伊達公子は大坂なおみのメンタルヘルス問題をどう思う。「選手にのしかかるダメージが大きいのは確か」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

伊達公子インタビュー@後編

 昨年6月、新たに発表された日本テニス協会の組織図の「理事」欄に、伊達公子の名前があった。

 1996年、26歳で電撃引退を表明したあとは、テニスから距離を置いた時期もあった。

 その彼女が、37歳時に日本テニス界を賦活すべく現役復帰し、そして今はジュニア育成プロジェクトを立ち上げ、直接後進の指導にあたっている。

 2度の選手キャリア、そして指導者や解説者など様々な立場でこの競技に身を置くレジェンドに、目に映るテニス界の景色を聞いた。 

◆伊達公子インタビュー@前編「変えるなら今。これがラストチャンス」はこちら>>

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伊達公子さんは大坂なおみの行動についてどう感じたのか伊達公子さんは大坂なおみの行動についてどう感じたのかこの記事に関連する写真を見る---- まず、お聞きします。伊達さんが思うテニスの魅力とは何でしょうか?

「いろんな視点から考えられるスポーツだと思います。テニスはとてもグローバルなスポーツであり、グローバルであるからこそ、私自身プロテニスプレーヤーに憧れ、なりたいと思うようになりました。

 実際にプロになって世界を見た時に、グローバルスポーツであるテニスの価値を、いろんな時代背景のなかで私自身もすごく学んできました。だからこそ次の世代に、テニスの魅力を伝えたいと思うようになったんです。ジュニアの選手たちにも、競技者としてだけではないテニスの側面も、しっかり見てほしいという思いがあります。

 世界中でこれだけ愛され、それでいて個人競技であるテニスの魅力は、競技者でなくなった今だからこそ感じることができるのかもしれません。ゴルフも似たところがありますが、本当に贅沢なスポーツだなと思いますから」

---- 女子スポーツということで言えば、大坂なおみ選手の収入に象徴されるように、テニスは非常に市場価値が高い競技です。その市場価値はどこから来ていると思いますか?

「やはり、華やかさ。それは選手だけでなく、会場なども含めたセットでだと思います。選手がふたりしかいない巨大なスタジアムに、数万人の観客が集まる。テニスウェアも、女性用は各スポーツメーカーさんの進化もあり、ファッショナブルです。

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