錦織圭も認めたリアル「テニスの王子様」は、空手でも全国制覇した実力者だった (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

この記事に関連する写真を見る「マッチポイントでミスしたフォアボレーの高いボールは、以前から苦手だったんです。普通ならチャンスボールなんですが、自分には嫌な球だった。そういう簡単なショットの練習を、自分はしていなかった。決勝の舞台で緊張感もあったなかで、やっぱり練習や準備が足りなかったなって」

 準備が足りていなかった......。その悔いが、プロ転向も考えていた堀江にアメリカの大学進学を選ばせる。

「錦織さんや、西岡(良仁)さん、ダニエル(太郎)さんも海外を拠点としてプロになった。アメリカからのほうが、プロに進むコースが見えやすいと思ったんです。あと、自分はすごく細かったので、フィジカル強化が一番必要だと思っていた。アメリカの大学進学は、プロになるための準備期間です」

 プロへの道を歩むべく、海の向こうに定めた順路。ただ、異国での単身生活は、未知と苦労の連続でもあった。

「最初は英語もできなかったので、短大に行ったんです。僕は日本でも、学校に行って机に座って勉強して......という生活をほとんどしていなかった。なので、本当に大変でした」

 日々の生活のストレスに加え、左手の手首をケガし、テニスができない時期も重なった。精神的にも落ち込んだなか、このままではよくないと判断し、一旦休学して帰国する。『月とオオカミちゃんには騙されない』の出演が決まったのは、この時だった。

 番組収録を始めてすぐ、堀江は自分の適性を感じたという。テニスで人に見られることに慣れているからか、カメラの前に立っても緊張せず、自然体でふるまえていた。

 同時に「まだまだ、全然ダメだなって思う点も多いです」と、篤実な口調で彼は言う。

「動画や写真を見ると、自分が思ったように動けていない。毎回毎回、反省しています」

 そんな時は、動画の中の自分と理想の動きを重ね、差を埋めるべく練習した。そのプロセスは、テニスの技術向上の過程ともよく似ている。

「テニスの試合でも、一度も100点の試合はやったことがない。そこは似ているのかなって思います。ま、テニス選手にはナルシストが多いですから」

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