錦織圭「ずっとモヤモヤがありました」。ジョコビッチ対策で一定の成果も全米OPで敗戦 (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AP/AFLO

 それにしても錦織は、大舞台でジョコビッチと対峙することが実に多い。グランドスラム4大会すべてでジョコビッチと対戦経験がある。2人の初対戦は、2010年ローランギャロス2回戦で、錦織が20歳の時だった。USオープンでは今回も含めて3回。特に、錦織が初のグランドスラム決勝進出を決めた、2014年USオープン準決勝でのジョコビッチからの勝利は、今もなお多くの日本のテニスファンの記憶に刻まれている。

 2014年当時、まさか2021年に34歳になったジョコビッチが、世界ナンバーワンに君臨し、年間グランドスラム達成を狙っているとは正直想像できなかった。しかも31歳の錦織にとって大きな壁になり続けているなんてなおさらだ。

 2021年3月に錦織は、自分の中の対戦したくないリストの一番上に、ジョコビッチとラファエル・ナダルを挙げたこともあった。今の錦織は、3月から半年が経過してテニスの質が上がってきてはいるものの、現在も難しい相手であることは変わらない。

 そして、今もなお強いジョコビッチに挑戦できることに価値を見出すことができるのではないだろうか。ジョコビッチも、年齢を重ねる中で実力が落ちて来る時は必ず訪れる。もちろんジョコビッチがいつまで世界のトップに君臨し続けるのかは、本人も含めて誰にもわからないが、負けず嫌いの錦織としては、弱くなったジョコビッチより、彼が強いうちに3回目の勝利を手にするほうがきっとうれしいはずだ。

「この何回かの対戦では一番よかったですね。次戦う時は、怖さが減るかな」と前を向く錦織。対ジョコビッチのテニスをさらにブラッシュアップして、マイケル・チャンコーチやマックス・ミルニーコーチの助言と共に、強いジョコビッチから再び勝利を挙げる可能性を追求していってほしい。

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