錦織圭「ずっとモヤモヤがありました」。ジョコビッチ対策で一定の成果も全米OPで敗戦 (2ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AP/AFLO

 錦織がジョコビッチからセットを取ったのは、2018年7月のウインブルドン準々決勝以来。ジョコビッチから20回のミスを引き出し、錦織の作戦勝ちとも言えた第1セットだったが、当然このままで終わらない。
 
 通常、ジョコビッチのような優勝に近い選手は、グランドスラム2週目からギアアップしていくので、3回戦から全開ということはまずない。だが、第1セットでテニスのクオリティの高い錦織とプレーをして、このままではいけないことを察知した。

「僕は彼(錦織)のゲームをよく知っている。何年にもわたって何度も対戦したからね」とジョコビッチは、第2セット以降テニスのレベルを上げていく。

「彼(ジョコビッチ)が打ち出してきたのを、1セット目はミスも誘いながらプレーしていましたけど、アグレッシブさが増してきて、そこを止められなかったですね。さらにレベルを上げてくる彼に対して自分がついていけなかった」

 いくらレベルの高いテニスでも単調になってしまっては、百戦錬磨のジョコビッチには通用しなくなる。錦織は、3球目で攻撃したり、ラリー中にスライスを交ぜたり、ドロップショットやロブを駆使したり、ツアー屈指のショットメイカーといわれる錦織らしさも発揮して対抗した。とりわけパッシングショットのうまいジョコビッチ対して、錦織はネットプレーに23回出て15回成功させた。

 ただ、「彼(錦織)のボールのペースに順応してからは、試合をコントロールできるようになった気がします」というジョコビッチが一枚上手だった。サーブ力の差もあり、ジョコビッチは、ここぞという時には時速200km近いファーストサーブを入れ、リターンのうまい錦織を凌駕する。第2セット以降、錦織はジョコビッチのサーブを一度しかブレークできなかった。

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