錦織圭、全米で2年ぶりの勝利。理想と実際のプレーへのギャップは「1回戦にしてはよかった」 (2ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AP/AFLO

 ただ、ストレートで勝てなかったのは、それが錦織の現在地ということなのだろう。ニューヨーク入りしてから、自分のイメージする理想のテニスと、1回戦を含めて実際にプレーしたテニスにギャップがあるかと問うと次のように答えた。

「内容で言うと、オリンピックとかワシントンのほうが、若干よかった気がしますけど、(1回戦の)1、2セット目は十分いいテニスができていました。1回戦にしてはよかったんじゃないかと思っています」

 まずは2年ぶりのUSオープンでの勝利を良薬にして、コンディションを上げていきたいところ。その中で再び彼のベストテニスをニューヨークで築いてほしい。

 今回のUSオープンでは、12歳以上の観客は新型コロナウィルスのワクチンを少なくとも1回接種していれば観戦できるとあって、錦織のプレーを多くの観客が見守った。1回戦勝利後には、サインを求める子供たちが多く集まったため、テレビインタビューが終わった後に、ラケットバッグを置き、長い時間サインや写真撮影に応じた。

「コロナのこともあるので、なかなか行きづらいところも正直あります。だけど、子供たちが多かったし、大丈夫かなと思ってやりました」(錦織)

 もともと観客との距離が近いUSオープンならではの光景が見られて微笑ましかった。新型コロナウィルスのパンデミックが続く中、プロテニスではコロナ禍以前の当たり前の光景が少しずつではあるが戻りつつあり、こうした観客からの応援を、錦織はエネルギーに変えていければいいだろう。

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