錦織圭、フォアの威力は回復も気になる肩の具合。USオープンは今後のキャリアを左右する重要な戦いだ (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFLO SPORT

 そのあと錦織は、「長時間のテニスで右肩の痛みがひどく、これ以上けがのリスクを負いたくありません。今は健康な状態でコートに戻れるよう集中しています」として、2回戦を棄権。続くマスターズ1000・シンシナティ大会(8/16~22)も欠場した。

 できるだけ勝ち星獲得へトライしたかったのは理解できるが、カナダで強行出場したのが裏目に出てしまった。

 年齢を考えれば、錦織はもっと自分の体を注意深くケアすべきだし、マックス・ミルニーコーチやワシントンD.Cで合流したマイケル・チャンコーチらチーム陣も、もっと錦織の体調管理に配慮すべきだったのではないだろうか。右肩の回復を図りながら、調整をしていかなければならない錦織だが、USオープンまでに、サーブに影響が出ない程度まで回復できるのか気になるところだ。

 1回戦で錦織は、サルバトーレ・カルーソ(113位、イタリア)と初対戦する。錦織が勝った場合、2回戦では、第27シードのダビド・ゴファン(30位、ベルギー)とマッケンジー・マクドナルド(60位、アメリカ)の勝者と対戦する。さらに3回戦では、第1シードのノバク・ジョコビッチ(1位、セルビア)と対戦する可能性もある。序盤から体力は温存したいところだろう。

 今回も錦織はノーシードでの戦いになるが、中期的にはグランドスラムでのシードを少しでも早く取り戻したいと考えている(グランドスラムでのシードは32)。

「とりあえずそれが第一ですかね。思ったより落ちているので、どこでもシードがつくことがなくなってしまった。とりあえずは50位、30位にはと思っていますけど、30位以内には年終わりに入っていたいかなと思っています」

 2021年シーズンでのトップ30返り咲きとなると、USオープンでのいい結果が必要不可欠となる。それには好調なテニスをキープしながら、連戦に耐えうる体力も維持していかなければならない。もちろんケガの再発防止も大切だ。

 錦織が最も得意とするUSオープンのコートで最大限の力を発揮できるのか、錦織の今後のキャリアも含めてニューヨークでの戦いは非常に重要なものになってくる。

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