ベストのプレーができていない錦織圭。東京五輪までは「立て直すことしかできない」 (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by PA Images/AFLO

 技術的な部分では、錦織にとってサーブが引き続き課題であり、マックス・ミルニーコーチと共にどう改善していけるのか注視したい。

 そして、今の厳しい現実をどう受け入れ、向き合い、対処していくのかが今後の彼のキャリアにとって重要だ。今後、錦織は、勝つことの難しさと少しずつ下降している世界ランキングとも向き合わなければならないだろう。そして、アスリートなら誰もが通る、年齢の経過と共に少しずつ落ちていく体力や実力の問題ともそう遠くない未来に直面するだろう。

「自分のやる気次第で、すべて変わる」と自ら語る錦織だが、今こそそれが問われており、彼自身があきらめなければ、飛躍へとつながる道は必ず開けるはずだ。

 ウインブルドンが終了して、錦織が次に臨むのは、東京2020オリンピック。一度アメリカの自宅に戻り、フロリダの練習拠点でトレーニングをするつもりだという。

「今、明らかに、数年前のように自分のベストでプレーできていない。オリンピック前によくなるように立て直すことしかできない。自分のベストでプレーすることを試みるだけです」

 今回のウインブルドン1回戦で勝利して、グランドスラムでのマッチ100勝目を挙げ、日本男子選手では誰も成し遂げたことのない金字塔を打ち立てた錦織だが、「何も感じません。何と答えれば正解なのか、ちょっとわからないですけど」と、記録や数字にこだわらない彼らしい姿勢を貫いた。

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