錦織圭がズベレフに取られてしまった戦略。「ガラッとプレーが変わる」ウインブルドンに期待

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 錦織に不利だった要因はいくつか挙げられはするが、当の本人は「うーん......ちょっと、ひとつも思い浮かばないですね」と、異なる結果へ導く「もし」を否定した。

「チャンスがひとつもあった思い出がないので」

そう振り返る錦織の「チャンスの思い出」をつぶしたのは、「今日は守備がすごかった」と脱帽したズベレフのコートカバーだ。

 その点に関してはズベレフも「何度も対戦しているので、圭のプレーパターンは何となくわかっていた」と前置きしたうえで、こう続けた。

「彼のプレーを読んでいたわけではないが、僕の動きは長身の割にはいいと思う。正直なところ、同じくらいの体格で僕より早く動ける選手がいるかどうか」

 口調は謙虚ではあるが、言葉の端々に強い自負がにじんでいた。

◆大坂なおみが投じた一石。外国人記者が会見で感じた違和感とは何か>>

 同じ相手に3大会連続で敗れて終えた赤土のシーズンを、錦織は「やっぱり、どう考えても突破口が見つからなかったので、ちょっとモヤモヤは残ります」と総括する。

 同時に「芝(の大会)に行って、ガラッとプレーも変わるでしょうし」と、なんとか前を向こうとした。その視線の先にあるのは、2年ぶりの開催となるウインブルドン。

「ちょっと一回、リフレッシュして、気持ちを整えられたらいいなと思います」

 みずみずしい芝の季節に向けて、気持ちとプレーの切り替えを測る。

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