錦織圭、全仏最大のヤマ場。自ら語った世界6位ズベレフとの再戦の展望は? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「マドリードではめちゃめちゃ(ズベレフが)打ってきたが、ローマではラリーが続き、チャンスが生まれたところがあった。コート的には、ここはマドリードとローマの間くらいの感じ。今週はボールがちょっと重いですが、その分、マドリードみたいにバンバン攻められてウイナーを取られることは少ないかなと思います」

 来たる再戦の展望を、錦織はそのように予想した。

 対するズベレフは、「マドリードはすばらしい試合だったが、ローマはものすごく長い打ち合いが続いたバトルだった」と、直近の2試合を振り返る。

「彼はいくつかの5セットマッチを制して自信を獲得し、そして今日は体力を温存している。次の試合は自分にとって、厳しい戦いになるだろう」

 錦織の実力を知る世界6位は、現状をそのように分析した。

 錦織の5セットマッチでの強さを警戒するズベレフだが、彼も初戦で2セットダウンの窮地から巻き返し、大逆転劇を演じている。もっとも、ズベレフをジュニア時代からよく知るテニス関係者は、「彼は体力に自信があるし、十分に余裕もあった」と見ていたという。

 錦織の5セットでの勝率が現役選手中最高であることは広く知られているが、ズベレフもまた、フルセットでの勝率は高い。今年4月に24歳を迎えたばかりながら、すでに22度の5セットマッチを経験し、内訳は17勝5敗。ちなみに22の回数は、ズベレフより年長のドミニク・ティエム(オーストリア/27歳)の19回やダビド・ゴファン(ベルギー/30歳)の18回を上回る。

 ズベレフは20歳にしてトップ10入りし、早くから「グランドスラムを制する新世代の最右翼」と目されながら、長くベスト8の壁に阻まれてきた選手でもある。その理由を「5セットマッチを戦い抜く力がないから」とも言われ続けてきた彼は、それら懐疑の声を封じるかのように、鋼の肉体と無尽蔵のスタミナを獲得した。

 そんなズベレフにとっても錦織との戦いは、自身の成長を示すひとつの試金石となるだろう。

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