大坂なおみ、会見拒否は逆効果か。集中力と精神の強さがよりプレーに必要とされている (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by USA TODAY Sports/Reuters/AFLO

 ただ、今大会はクレー克服だけが問題ではなく、会見拒否宣言によって、彼女が一戦一戦高い集中力を維持しながらプレーするのが決して容易ではない事態になってしまっている。

 1回戦勝利直後のオンコートインタビューに応じた大坂は、「(クレーでの)試合を重ねて、進歩していけるといい」と言葉少なく足早にコートを去った。そして、試合後の記者会見には、自らの宣言どおり姿を現さなかった。

 この大坂の行動を受けて、全仏オープンだけでなく、全豪オープン、ウィンブルドン、USオープン、すべてのグランドスラムの共通認識およびペナルティとして、大坂に1万5000ドル(約165万円)の罰金が科せられた。

 もし今後も大坂が会見拒否を続けた場合、今回の全仏オープンからの追放が想定され、さらなる高額な罰金、そして、全グランドスラムへの出場停止という制裁の可能性もあり、大坂のキャリア存続の危機にもつながりかねない。

 これまで思慮深い行動をとっていた大坂が、なぜ今回は早急とも過激とも言えるような行動に出てしまったのか、他のやり方があったのではないかと思えて仕方がない。大坂がよかれと思って起こしたアクションだったが、過激な行動は、予期せぬ新たな敵をつくりかねない。

 2回戦で、大坂は、アナ・ボグダン(102位、ルーマニア)と初対戦することになったが、その前に早急に大会側と和解をして、別の形で選手のメンタルヘルスを保つ方法を模索していくべきだろう。

 そして、プレーに集中してフィセッテコーチが語るクレーでの実績と自信を、大坂がローランギャロスで一つひとつ積み重ねていくことを願いたい。

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