【現地発】大坂なおみの不意打ちの声明に震撼。全仏OP関係者の反応は (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 フィジカル、戦術、そして精神面......。クレーで自分に足りないものは何かと問われた時、彼女は迷わず「精神面」だと答えている。自分を信じ、そして「自分に厳しくしすぎないこと」......そのような心の在りようが、大切なのだとも言った。

 その大坂が、今回の全仏開幕前に「健全な精神状態を保つことが難しい」ことを理由に、会見には出ないと明言した。

 本人からの詳細な説明もない現時点では、この宣言の真意を推し測るのは難しい。ただ、この言葉を額面どおりに......つまり、自身の心の安寧を欲していたからと受け止めるのは、いささか無理があるだろう。なぜなら一連の行為により、彼女の周囲はいつも以上に騒がしくなっているからだ。

 全仏オープン大会ディレクターのジ・フォルジは、『レキップ』紙の取材に対し「現時点(27日)では、彼女と話し合いの場を持っていない」と断わったうえで、次のように応じている。

「とても驚いている。なんの予兆もなく、不意打ちで起きたことだ。彼女の今回の行為を、我々は認めるわけにはいかない。経済的な観点からも、みんなが協力しあう必要がある。Covidの時代ではなおさらだ。この問題をどう扱っていくか、検討しているところである」

 また、FFT会長のジレ・モレトンも、同紙を通じて私見を公にした。

「彼女の行為は、とんでもない過ちだ。我々はルールと法律にのっとり、彼女に罰金を課すだろう。彼女はスポーツを、そしてテニスを傷つけた。それが最大の問題点だ」

 フォルジやモレトンが示唆したように、大会サイドは大坂に説明を求め、そのうえで協議を進めることになる。地元メディアも当面は、この話題を報じていくだろう。喧騒と重圧が彼女を取り巻くだろうが、それでもなお、彼女には提起したい問題や貫くべき信念があるようだ。

 まだ3回戦より上に進めていない大坂のローランギャロスでのプレーについて、コーチのウィム・フィセッテは「動きやパワーに戦術など、なおみはクレーで勝つ要素を十分持っている」と明言する。

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