大坂なおみが手にした「もうひとつの武器」。データが示す明らかな向上 (2ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AAP/AFLO

 今大会では時速190km台をたたき出す大坂のビッグサーブは大きな武器のひとつになっているが、昨年のオフシーズンからウィム・フィセッテコーチと取り組んでいるリターンの向上も、大坂の勝利に大きく貢献している。

 準々決勝でも、大坂のリターンからのプレーがポイントになった。大坂のリターンの返球率は、第1セットでは77%(23/30)、第2セットでは 79%(19/24)、試合全体では78%で非常に高かった。シェイのセカンドサーブでのポイント獲得率が39%と低かったことからも、大坂がリターンから攻勢に出ていたのが伺える。

「リターンの返球率が高いことは、大切なことです。リターンを返す場所もまた大切で、私がやんわりとリターンを返してしまうと、彼女はウィナーを打ち込んできますから」

 こう話す大坂は、リターンを打ち返す場所、コース、深さ、スピード、角度、ボールの回転などを、状況によって使い分け、リターンからゲームの主導権を握っていった。

「ここ数年を振り返って、なおみがベストサーバーの1人であることは、皆さんご存知のとおりで、対戦相手に大きなプレッシャーを与えてきました」

 フィセッテコーチは、ビッグサーバーである大坂の強さをこう前置きしたうえで、大坂が打つリターン向上の意味を語る。

「リターンの返球数を増やすことができれば、対戦相手により多くのプレッシャーをかけることができます。それは、なおみが勝つためにとても重要な部分になります」

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