大坂なおみに安定感。「重いボール」を打つ練習でさらに進化した (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFP/AFLO

 3回戦で、28本のミスを強いられながらも26本のウィナーを決めて、曲者ジャバーを振りきった大坂。片手バックハンドのスライスや、巧みなドロップショットを織り交ぜるトリッキーなジャバーのプレーに対応し、むしろ「ジャバーの特異なプレーを楽しむ気持ちがあった」という。これには少しばかり驚いた。以前の大坂だったら、ほぼ間違いなくイライラしながらミスをして自滅していたのではないか。

 得意とするハードコートという条件も影響しているだろうが、現在の安定したメンタルであれば、大坂が自滅することは想像しにくい。大坂とフィセッテコーチとの信頼関係は、彼女のメンタルの安定と動じない心の強さをもたらし、テニスの進化も確実に促している。

 ただ、2020年8月からのツアー再開後、大坂は現在のトップ10選手との対戦がまだない。今回の全豪オープンでトップ10選手と対戦した時に、フィセッテコーチと取り組んでいることをどこまで発揮できるか。その真価が問われるだろう。

 次に大坂が戦う第14シードのガルビネ・ムグルサ(14位、スペイン)は、トップ10選手ではないものの、2016年ローランギャロスと2017年ウィンブルドンで優勝し、世界1位にもなったことのある元女王。楽しみな初対戦だ。

 ムルグサは、全豪オープンでは2020年に準優勝している。トップスピンを武器とする多くのスペイン選手と異なり、ムグルサはフラットドライブ系の攻撃的なストロークが武器。

 さらに長身182cmからのビッグサーブもあって、「いつも彼女(ムグルサ)と対戦するチャンスを得たいと思っていた。本当に楽しみ」と語る大坂とは激しい打ち合いが予想される。

 2年ぶり2度目の優勝を目指す大坂にとって、ここが突破しなければならない第一関門となりそうだ。

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