大坂なおみに安定感。「重いボール」を打つ練習でさらに進化した (2ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFP/AFLO

 そう分析した大坂は、第2セットでセカンドサーブのポイント獲得率を71%に上げて、見事に立て直した。

「彼女(ジャバー)は、本当にいいリターナー。それがわかっていたのでそこまで深刻に悩まなかったです。一度だけブレークされましたけど、あれはベースライン上でのラリーで、ケアレスミスを自分がしたから」

 大坂自身もこう振り返ったように、3回戦でのセカンドサーブは回転のかかったスピンサーブでプレースメントもよかった。また、ファーストサーブは確率こそ43%だったが、最高時速は193kmをマーク。やはりビッグサーブは有効な武器になっている。

 大坂は、クオリティーの高いサーブを打つために、「自分でコントロールできることに集中することが肝心」と認識している。サーブは、誰にも邪魔されることがないからだ。

 さらに、リターンでもコントロールしようとしている。いいリターンゲームをすれば、いいサービスゲームにつながり、チャンスが増えるという考えだ。

 大坂は、2020シーズンから一緒に戦っているウィム・フィセッテコーチと"重いボール"を打つという取り組みをしている。テニスの重いボールとは、スピードだけでなく、トップスピン(順回転)のかかった状態によって実現し、バウンドするときに推進力のあるボールがより高く跳ねて、対戦相手をベースライン後方に追いやることができる。

 もともと大坂は自他共に認めるハードヒッターだが、フィセッテコーチと取り組んでいる重いボールに磨きをかければ、サーブやリターン以外のショットでも、コントロールできる領域がさらに増えるかもしれない。

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