大坂なおみ、2回戦も優位は揺らがず。初戦で見せたトッププレーヤーの勝ち方 (2ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFLO

 29歳のパブリュチェンコワは、過去に全豪オープンで3度ベスト8に進出したことのある実力者だが、大坂はハイクオリティーなテニスをして、相手に試合の主導権をまったく渡さなかった。

 大坂のファーストサーブでのポイント獲得率は81%と非常に高く、さらに得意とするフォアハンドのウィナー10本を含む合計18本のウィナーを決めた。

 大坂自身は、昨年のオフシーズンに練習して向上してきたリターンに前哨戦から手ごたえを感じており、「さらに試合を重ねるごとによくなっていくはず」と自信を見せている。

 1回戦は、相手に格の違いを見せつけるような68分の快勝だったが、前哨戦のプレーからさらにギアアップをして、隙を見せない引き締まったテニスを披露した。

 さらに、全開のテニスではなく余力を残しつつのストレート勝ち。これは、まさにグランドスラム優勝を目指すトッププレーヤーの勝ち方であり、2週間の長丁場を勝ち抜くためには、理想的なスタートなのだ。

 このスタートができたのは、大坂の心の成長と安定によるところが大きいのではないだろうか。

 以前、大坂は自分にはまだ"チャンピオンたる心構え"が備わっていないと語ったことがあった。だが、すでにグランドスラムタイトルを3個獲得し、世界ナンバーワンにもなった経験から、それが身につきつつあるように思える。2019年に世界1位でありながら味わった苦い敗戦の屈辱も、大坂がまた真のチャンピオンになるための糧となっている。

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